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舞踊・社会学的考察による民俗芸能の社会統合の力
―阿波踊りの企業連に着目して  
中村 まい 著
A5判・上製・横組・208頁
(本体4,000円+税)
ISBN 978-4-8115-8091-3 C1036
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内容概略
 本書は、観光資源化の成功例である阿波踊りに着目し、企業の踊り集団「企業連」の運営と、そこから生じる社会的関係について検討したものである。営利組織である企業が民俗芸能に参与することの社会的影響を分析し、経済振興という側面を超えた民俗芸能の価値と、新たな担い手としての企業の可能性を模索している。
 阿波踊りは大正期以降、総合芸術から「踊り」へと集約され、観光資源化の過程で「見せる」ための様式化・画一化・技巧化が進んだ。その結果、地域住民の踊る場が減少するという課題も生じている。現状、企業連は通年で活動を行う一般連や学生連に比べ、観客の多い有料演舞場での出演機会が多い。練習量の確保が難しい企業連が、いかにして「見せ物」としての質を担保し、運営を維持しているかを考察した。
 他地域の祭り(三原やっさ踊り、よさこい鳴子踊り)との比較から、阿波踊りの企業連は、企業内外の多様な参加者を包含する寛容な運営形態を持つことが明らかになった。これを可能にしているのが、習熟度の異なる参加者を配置し、他連との合同出演も容易にする「隊列」という阿波踊り特有の舞踊特性である。この特性により、企業連は多層的な人間関係を構築・強化する場となっている。
 企業は単なるスポンサーではなく、自ら民俗芸能に深く参与することで、技術や人材の需要を創出している。こうした企業と伝統的な担い手との協働関係は、近年の祭りが直面している「資金不足」や「担い手不足」という深刻な問題を解決する有効なモデルとなる可能性を秘めている。

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目次

序章
 第1節 本研究の目的と背景
 第2節 先行研究の検討
 第3節 研究対象と研究方法
 第4節 用語の使用について
 第5節 予備的考察:企業が踊り手として参加する祭り
第1章 これまでの阿波踊りの歴史と企業の関わり
 第1節 江戸期の多様な芸態と富裕商人の関わり
 第2節 阿波踊り衰退期(明治末期~大正期)における企業連の誕生
 第3節 阿波踊りの観光化と企業連の参与
 第4節 戦後の演舞場拡大期における企業の貢献
 第5節 屋内舞台公演による芸態の変化と現代の課題
 小括
第2章 民俗芸能としての阿波踊りと現在の阿波おどり運営
 第1節 民俗芸能としての阿波踊り
 第2節 祭りとしての阿波おどり運営
 第3節 阿波踊りの担い手集団としての連
 小括
第3章 活動実態の比較から見る阿波踊りの企業連の特徴
 第1節 阿波踊りとの比較対象とする2つの踊りについて
 第2節 各踊りに参与する企業連/チームの活動実態
 小括
第4章 阿波踊りの企業連を媒介として生じる多層的な社会関係
 第1節 多様な参加者を包含する阿波踊りの企業連の運営
 第2節 阿波踊りの企業連を媒介として生じるさまざまな社会関係
 第3節 隊列の運用に見る阿波踊りの担い手の柔軟性
 第4節 祭りの運営形態が担い手に与える影響
 小括
結論:民俗芸能の社会統合の力
謝辞
引用・参考文献

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著者

中村 まい 著

中村 まい(なかむら まい)
新潟産業大学経済学部講師

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