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評価論理
  
佐々木亮著
B5判・並製・180頁
(本体2,800円+税)
ISBN 978-4-8115-7601-5 C1031
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内容概略
 近年になって日本では、あらゆる分野で評価が導入されるようになった。政策評価、行政評価、学校評価、マニフェスト評価、事業仕分けなどである。しかし多くの分野で本来の評価の意義がよく理解されないまま導入された結果、各分野で混乱が生じている。本書はそのような状況を改善するために執筆された。正式な評価哲学に基づき、そもそも評価とは何か、評価と調査は何が違うのか、真に客観的な評価はあり得るのか、などを論じている。さらに、評価における価値観の取り扱い、因果関係(内的妥当性)の考え方、一般化可能性(外的妥当性)の考え方など、評価者なら一度は取り組まねばならない難題に関して、道しるべを与えている。
 「政策評価の理論と技法」(龍慶昭・佐々木亮)で、各種の評価手法を提案し、ロジックモデル、業績測定、インパクト評価などの日本への導入に大きな足跡を残した筆者が、10年ぶりに放つ待望の本格的哲学論考集にして実用書。評価者および評価研究者にとって必読の書。巻末に「特別解説:事業仕分けは評価なのか?」を収録。

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目次

はじめに
本書の構成
第1章 評価の基本論理
 1.評価とは何か?
 2.ものごとの価値の種類
 3.評価の基本的手続き
 4.評価結論の類型
 5.評価項目、評価水準、指標、指標値の範囲
 6.総合評価の方法
 7.提言の是非に関する議論
第2章 評価における価値観の取り扱い
 1.専門的評価と個人的評価
 2.誰の価値観に基づくべきか
 3.本当に住民・市民の価値観に基づくことができるのか
 4.それでも最後は評価者の全人格的な行為となる
 5.なぜ事前に設定された目的や目標を単純に評価基準に使用してはならないのか
 6.委託者の意向はどう考えるべきか
第3章 客観的な評価とは
 1.客観的な評価の本来の意味
 2.客観的ということの定義
 3.再検証:池の例
第4章 評価の類型
 1.評価の3種類の用途:総括、改善(形成)、創知
 2.意思決定への利用とアカウンタビリティ(説明責任)の充足
 3.切り口による分類:側面別評価、構成部分別評価、包括的評価
 4.時期による分類:事前、中間、終了時、事後
 5.評価者の立場による分類:内部評価と外部評価
第5章 因果可能性(内的妥当性)の特定方法
 1.因果関係性(内的妥当性)とは
 2.因果関係を特定するための調査デザイン(定量的手法)
 3.因果関係を特定するための調査デザイン(定性的手法)
 4.実験デザインを巡る論争
 5.因果関係特定(内的妥当性検証)のための基本的論理
第6章 一般化可能性(外的妥当性)の特定方法
 1.一般化可能性(外的妥当性)の定義
 2.キャンベルの外的妥当性
 3.クロンバックの推定法
 4.ステイクおよびグーバの自然的一般化(構築的一般化)
 5.インの論理的一般化(分析的一般化)
 6.グラスのメタ分析
 7.ブリンカホフのサクセスケースメソッド
 8.一般化可能性(外的妥当性)の特定のための基本論理
第7章 評価を巡る代表的な論争
 1.科学的評価と実践的評価に関する論争
 2.定量手法と定性手法に関する論争
 3.実験デザインと計量経済モデルの評価に関する論争
 4.費用対便益分析を巡る論争
 5.実績測定とプログラム評価に関する論争
 6.評価における統計検定の是非を巡る論争
第8章 具体的な評価の手続 ステップ・バイ・ステップ
 第1フェーズ 評価の実施決定と事前準備
 第2フェーズ 受益者・必要性の特定、評価枠組・総合化手順の決定と合意
 第3フェーズ 事実特定と価値判断
 第4フェーズ 総合評価、提言作成、実施終了
第9章 要約と提言:論理に基づく評価の定着に向けて
 1.本書の要約
 2.評価学の未来
 3.提言:日本における論理に基づく評価の定着に向けて
第10章 特別解説:「事業仕分け」は評価なのか?
 はじめに
 1.「事業仕分け」の現状
 2.そもそも「事業仕分け」とは何か
 3.「事業仕分け」は評価なのか
別添
 1.評価論理に基づく評価記入表
 2.基本的評価チェックリスト(正式版)
参考文献

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著者

佐々木亮著

佐々木亮(ささき りょう)
(財)国際開発センター主任研究員、大阪大学大学院非常勤講師、立教大学大学院兼任講師

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