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書籍のご案内

教師の相互行為能力は記述可能か
―英語授業の会話分析による試み  
石野 未架 著
A5判・並製・横組・144頁
(本体4,000円+税)
ISBN 978-4-8115-8081-4 C1037
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内容概略
 本書は「教師の相互行為能力は記述可能か」という問いに、会話分析の手法を用いてこたえるものである。具体的には、著者がフィールドワークによって収集した中学校や高等学校における英語の授業を対象に分析を行い、その記述を試みている。
 前半では、本書であつかう教師の相互行為能力という定義についてSteve Walshの「教室相互行為能力」の概念やDonald Schonの「行為の中の知」の概念を参照しながら確認している。そして定義した相互行為能力を記述するうえで、なぜ会話分析という手法が適切なのかについて会話分析の基本的な事項を確認しつつ議論を展開している。中盤ではいよいよ、著者が収集した英語の授業データを対象に教師の相互行為能力の記述を試みている。また、記述に入るまえに会話分析に馴染みのない読者が教室の会話分析データを理解できるようトランスクリプトの読み方等についても詳しく解説している。後半では、これまで記述された教師の相互行為能力を教師教育に応用する取り組みについて議論を展開している。具体的には、著者が実際に大学の教科教育法の授業で行っている実践について詳しく紹介し、他大学でも応用できるように解説を加えている。
 あつかうデータは英語の授業や英語教師に限定してはいるが、会話分析を教師の授業力育成や授業研究に応用しようとする全ての人にとって有益な知識をコンパクトにまとめた一冊となっている。

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目次

はじめに
第1章 教師の相互行為能力とは何か
 1. 外国語学習における相互行為能力
 2. 外国語教師の教室相互行為能力
 3. 教師の相互行為能力と「行為の中の知」
 4. 教師の相互行為能力は記述可能か
第2章 会話分析とその応用
 1. 会話分析
 2. 会話分析の研究手順
 3. 応用会話分析
第3章 外国語の授業場面と会話分析
 1. 教室会話分析
 2. 教室会話分析の基本的な概念
 3. 外国語教師のふるまいと教室会話分析
 4. 教室会話分析のデータ
第4章 教師の 相互行為能力の記述
 1. 教育目標に沿って使用言語を調整する技能
 2. 学習者に相互行為のための場をつくる技能
 3. 学習者の教室会話における貢献を具体化する技能
 4. 学習者の反応を引き出す発問の技能
 5. 小括
第5章 介入会話分析と教師教育
 1. 介入会話分析
 2. 介入会話分析による教師教育
 3. 国内の教師教育への応用
おわりに
参考文献一覧
付録

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著者

石野 未架 著

石野 未架(いしの みか)
同志社大学グローバル地域文化学部助教

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