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書籍のご案内

コンピュテーショナル・エコノミクス
  
釜 国男 著
A5判・上製・横組・288頁
(本体5,000円+税)
ISBN 978-4-8115-7971-9 C1033
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内容概略
 経済モデルの精緻化にともない、数値計算は研究者にとり必要不可欠なツールとなっている。いまやコンピュテ―ションは理論と実証に並ぶ重要な分野といえる。本書は、連続時間のDSGEモデルに関する数値計算の方法について論じている。とくに異質的エージェントモデルに焦点を当てている。現代のマクロ経済学において、経済主体の異質性は重要な役割を果たしている。また異質性を考慮しなければ、所得分配や経済政策の効果を論じることはできない。モデルを構成するベルマン方程式とコルモゴロフ方程式の数値解法を、分かりやすく説明している。平均場ゲーム理論の応用として、枯渇性資源と資産格差の問題を取り上げて興味ある結果を得ている。他にオプション価格や確率的制御問題について数値解析を行った。マイクロデータの利用により、大規模モデルを取り扱う機会が増えている。このためクリロフ部分空間に基づく連立1次方程式の解法について検討した。従来、短期的な調整過程の分析には線形近似法が使われてきた。しかし、この方法では局所的な性質しか分からない。代わりに時間消去法を用いて、グローバルな性質を調べる方法を示した。最後に簡単なRBCモデルを日本経済に適用して、いくつかの問題点を明らかにする。

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目次

はじめに
第1章 数値計算の基礎
 1.1次元探索
 2.ニュートン法
 3.準ニュートン法
 4.最急降下法
 5.共役勾配法
 6.滑降シンプレックス法
 7.制約つき最適化
 8.数値積分
 9 動的計画法
 10.コルモゴロフ方程式
 補論 MATLABの基本的なコマンド
第2章 偏微分方程式の数値解法
 1.変分法の基本原理
 2.差分法
 3.直接法
 4.有限要素法
 5.結語
第3章 オプション価格の数値解析
 1.オブションの仕組み
 2.ブラック・ショールズ方程式
 3.差分法
 4.コックス・ロス・ル―ビンシュタインモデル
 5.モンテカルロ法
 6.結語
第4章 動学的調整過程の数値解析
 1.時間消去法
 2.ラムゼイモデル
 3.宇沢・ルーカスモデル
 4.結語
第5章 連続時間DPの数値解析
 1.動的計画問題
 2.最適成長モデルへの応用
 3.LQ制御問題
 4.確率的制御
 5.確率的最適成長モデルへの応用
 6.結語
第6章 大規模連立1次方程式の数値解法
 1.はじめに
 2.共役勾配法
 3.クリロフ部分空間法
 4.一般化最小残差法
 5.共役残差法
 6.鞍点問題
 7.結語
第7章 確率微分方程式の数値解法
 1.確率微分方程式
 2.SDEの数値解法
 3.数値解の収束性
 4.数値解の安定性
 5.多変数の確率微分方程式
 6.多変数SDEの数値解法
 7.結語
第8章 人口分布の数量分析
 1.都市の人口分布
 2.ランダム成長仮説
 3.都市の死滅と再生
 4.べき乗則からの逸脱
 5.ケステン過程
 6.ジブラの法則
 7.結語
第9章 最適成長モデルの数値解析
 1.差分スキームの収束条件
 2.熱伝導方程式
 3.最適成長モデル
 4.確率的最適成長モデル
 5.結語
第10章 ホテリングモデルの数値解析
 1.はじめに
 2.確定的モデル
 3.確率的モデル
 4.独占のケース
 5.結語
第11章 資産分布の数値解析
 1.異質的消費者
 2.数値解法
 3.定常均衡
 4.調整過程
 5.結語
 補論 コルモゴロフ方程式の導出
第12章 RBCモデルによる景気変動の分析
 1.プロトタイプモデル
 2.景気変動の特徴
 3.基本モデル
 4.結語
索引

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著者

釜 国男 著

釜 国男(かま くにお)
創価大学教授

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