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書籍のご案内

従業員と顧客の自発的貢献行動
  
上田 泰編著
A5判・上製・208頁
(本体3,000円+税)
ISBN 978-4-8115-7851-4 C1033
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内容概略
 組織の従業員は、公式の職務規定や職務記述等では明確に規定されていないものの、組織が効果的あるいは効率的に機能する上で役立つ行動を自発的にいろいろと行っている。たとえば、仕事をまだうまく処理できない新人に対して、周囲にいる先輩の従業員が日常的かつ非公式にアドバイスしたり、励ましたりすることはよくあることである。この種の自発的な行動は、1つ1つは些細なものであるが、多くの従業員の行動が蓄積されることで、組織を機能させるうえで重要な役割を持つものであり、特に1980年代からは組織市民行動と名付けられて多くの研究者の注目を集めている。
 これまでの組織市民行動の議論の問題の1つは、その種の自発的な行動を、従業員だけが行うと暗黙のうちに仮定していたところにある。しかし、組織が多様なステイクホルダーの支援を受けていることを前提にすれば、従業員だけではなく、顧客や株主といった多様な関係者が従業員と同じように自発的な貢献行動を通じて組織を支援しているというのが真の姿である。本書は、このような観点から、従来の組織市民行動の研究よりも広範な観点から従業員や顧客の自発的貢献行動について議論を行ったものである。より具体的には、従来の組織市民行動研究の動向の紹介(第1章~第4章)に加えて、特に生産労働者(第5章)、顧客(第6~第7章)や学生(第8章)が、組織(企業や大学)に対して行う自発的貢献行動に注目し、また、組織市民行動の関連性がしばしば指摘される倫理行動との関係についても議論されている(第9章)。

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目次

まえがき
第1章 従業員や顧客の自発的貢献行動への注目
 1.組織と自発的貢献行動
 2.職務満足と職務成果の関係から~オーガンの研究
 3.ベッテンコートによる顧客自発行動の注目
 4.本書の構成
第2章 組織市民行動の概念化とその次元
 1.OCBへの注目の起源
 2.OCBの提唱
 3.OCBの次元
第3章 組織市民行動に影響する要因
 1.影響要因の分類軸
第4章 アジアと日本の組織市民行動の次元
 1.はじめに
 2.欧米のOCB次元
 3.中国のOCB次元
 4.日本のOCB次元の識別
 5.今後の方向性
第5章 科学的管理法と組織市民行動
 1.はじめに
 2.科学的管理法の特徴とOCB研究
 3.科学的管理法の視点からみたOCBの定義
 4.科学的管理法の生成とOCB
 5.科学的管理法の進歩・変容と組織市民行動
 6.日本の生産組織における組織市民行動
 7.まとめ
第6章 消費者の自発的参加行動を促すメカニズムに関する考察
 1.研究の背景と目的
 2.先行研究
 3.仕掛学とマーケティングの接点
 4.自発的参加行動の分類
 5.なぜ「仕掛け」が成功するのか
 6.マーケティングにおける仕掛けの可能性
第7章 ブランド・コミュニティに見る消費者の自発的参加行動
 1.はじめに
 2.自発的参加行動とブランド・コミュニティ
 3.BMW二輪車コミュニティ「プロペラクラブ」の事例
 4.おわりに
第8章 テレワーク環境における学生の組織市民行動
 1.はじめに
 2.企業におけるオンラインコミュニケーション環境と情報共有
 3.大学教育におけるゼミナール組織での自発的貢献行動
 4.組織内SNSを用いたゼミナール活動でのUCBとその効果
 5.おわりに
第9章 組織市民行動と倫理的行動
 1.はじめに
 2.企業倫理論におけるOCB
 3.企業倫理プログラムとOCB
 4.むすび
第10章 組織を支えるステイクホルダーの自発的貢献行動
 1.これまでの議論を振り返って
 2.今後に向けて

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著者

上田 泰編著

上田 泰(うえだ ゆたか)
成蹊大学経済学部教授

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