序
第1章 『ニーベルンゲンの歌』―「記憶」の継承
1『ニーベルンゲンの歌』の口承性
1.『ニーベルンゲンの歌』における「語り」―プロローグ詩節を巡って
2.詩人の匿名性
2.『ニーベルンゲンの歌』の重層構造
1.Bヴァージョンでのシーフリト描写―第二歌章を中心に
2.Cヴァージョンでの改訂の示すもの―Bヴァージョンでの問題点
3.英雄的世界と宮廷的世界の相克
1.ハゲネの「語り」―シーフリトの英雄的特性の物語世界への展開
2.英雄の記憶―『ニーベルンゲンの歌』の内包する二つの世界
第2章 写本伝承段階における『ニーベルンゲンの歌』と『哀歌』の受容
1.『ニーベルンゲンの歌』と『哀歌』の非連続性
2.写本Bの『ニーベルンゲンの歌』から『哀歌』への移行部
3.写本Cの『ニーベルンゲンの歌』から『哀歌』への移行部
4.写本Aの『ニーベルンゲンの歌』から『哀歌』への移行部
5.初期主要三写本の移行部の構成と『ニーベルンゲンの歌』と『哀歌』による複合体
第3章 『哀歌』―記憶の発生と対象化
1.『ニーベルンゲンの歌』の総括と注釈としての『哀歌』
1.クリエムヒルト擁護―「誠」を巡って
2.シーフリトの「ubermuot」―BヴァージョンとCヴァージョンの差異にみる「古の物語」への視線
2.「嘆き」―死者との決別と記憶の発生
1.「嘆かれ」るクリエムヒルトと呪われるハゲネ―生者による証言
2.生者による追悼―人物像を巡る議論
3.英雄たちの葬送
3.過去の克服―『哀歌』の語る「その後何が起こったか」
1.埋葬と慰め―世界の変容
2.物語の伝承と「嘆き」の克服
4.書記と口承の融合―『哀歌』にみる歴史伝承観
第4章 『ニーベルンゲンの歌』および『哀歌』に見る口承文芸と書記文芸の交差
あとがき
参考文献目録
山本 潤(やまもと じゅん)
首都大学東京准教授
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