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書籍のご案内

影の取締役の基礎的考察
―イギリスにおける会社法形成史および従属会社の債権者保護の視点からの考察  
坂本達也著
A5判・上製・400頁
(本体5,000円+税)
ISBN 978-4-8115-7481-3 C1032
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内容概略
イギリスにおける影の取締役制度について、従属会社の債権者保護との関連で考察する。イギリス法の特徴として、業務執行機関を柔軟にとらえ、これを拡張する点がある。その例が影の取締役制度である。
影の取締役とは、取締役がある者の指揮または指図に従って行動することを常とする場合におけるその指揮者または指図者のことである。この者は、一定の範囲で取締役として取扱われる。影の取締役の規定は、会社支配者を規制の対象に含めるものである。
本書の特徴の一つは、イギリスにおける会社法の形成過程および同法が規制の対象とする株式会社の形成過程に関する歴史的な考察を重視する点である。これらの歴史的な流れを理解したうえで、影の取締役の規定が採用された歴史的経緯を明確にする。本書が提示する会社法および株式会社の形成史は、一般的な歴史的考察としても見ることができる。
さらに、影の取締役の裁判例および学術文献等における見解に関して、影の取締役としての責任の基礎づけ、支配会社に対する従属会社の影の取締役としての責任の基礎づけ、影の取締役と取締役の信認義務ないし取締役の一般的義務の関係等の点について考察。また、日本法についても検討を加え、最後に日本法への示唆として規制案を提示する。

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目次

はしがき
第1章 問題の所在および考察の範囲
第2章 株式会社および会社法の形成に関する通史的概観
   第1節 初期―1720年泡沫法制定まで―
   第2節 中期―1825年廃止法による1720年泡沫法廃止まで―
   第3節 後期―1825年廃止法以降―
   第4節 小括
第3章 特許主義時代における管理機関および業務執行機関に関する歴史的概観
   第1節 ギルドおよび制規会社
   第2節 ジョイント・ストック・カンパニー
   第3節 小括
第4章 取締役の規定および影の取締役の規定
   第1節 会社法統合過程における取締役の定義規定
     ―1844年登記法および1845年会社条項統合法における規定について―
   第2節 1862年会社法成立後における取締役の定義規定 
   第3節 影の取締役の規定
   第4節 取締役の定義規定および影の取締役の規定の比較
   第5節 小括
第5章 影の取締役の裁判例および学術文献等における見解
   第1節 裁判例の概観
   第2節 学術文献等における見解の概観
   第3節 小括
第6章 日本法への示唆
   第1節 事実上の取締役についての裁判例と検討
   第2節 事実上の取締役に関する学説および結合企業法に関する近時の学説の概観
   第3節 規制案
   第4節 小括
第7章 結語
索引

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著者

坂本達也著

坂本達也(さかもと たつや)
沖縄国際大学法学部専任講師

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