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書籍のご案内

イギリス視学制度に関する研究
―第三者による学校評価の伝統と革新  
高妻紳二郎著
A5判・上製・304頁
(本体5,400円+税)
ISBN 978-4-8115-7171-3 C1037
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内容概略
 わが国では2006年3月に「学校評価ガイドライン」が公表されるとともに、現場における自己評価・外部評価、第三者評価の実践研究を実施する方針が打ち出され、順次実施に移されている。本書は、このようなわが国の動向も汲みながら、これまで体系的な研究書がなかった学校の第三者評価の本家ともいえるイギリスにおける視学制度の特質と意義を、その歴史的展開過程を踏まえてまとめたものである。170年にわたるイギリスの中央の視学制度とそれに遅れて発達してきた地方の視学制度がそれぞれどのような経緯で創設されたのか、そして勅任視学官(HMI)及び地方視学がどのような役割を担い、いかなる活動に従事してきたのかについて詳述するとともに、今日の学校評価の状況については現地調査を踏まえて例証している。歴史的に評価者の個人的権威が受容され、それが学校との信頼構築と第三者による評価風土の形成に寄与する基盤となっていることが明らかにされ、効果的な学校評価を実施するためには、法的拘束力の強化によるのではなく、評価者が「現場主義」に立脚するとともに、指針や手引書の刊行など、学校の教育活動を改善するための具体的指針を示すことによって学校評価を受け入れる環境を整備することが重要であることが主張される。このように、イギリスの視学制度を初めて体系的にまとめた研究書であると同時に、今後のわが国における学校の第三者評価のあり方を考える際に有効な示唆を提供する書であるといえよう。

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目次

序章 研究の目的と方法
第Ⅰ部 視学制度の成立と展開
第1章 視学制度の成立―基盤形成―
 1. 学校査察の萌芽
 2. 視学制度の導入
 3. 初期視学官の役割と歴史的意味
第2章 勅任視学官制度の展開―権限の強化―
 1. 出来高払い制度の導入と学校査察
 2. 勅任視学官と教師との関係
 3. 勅任視学官の教育行政への関与形態
第3章 勅任視学官制度の変容―組織的学校査察の誕生―
 1. 教育行政制度の発展と視学制度の変容
 2. 学校査察の目的と方法の変革
第4章 地方視学制度の成立と展開―学校との協調関係の構築―
 1. 学務委員会による学校査察
 2. 地方における学校査察の展開
 3. 地方における学校査察の変容
第Ⅱ部 視学制度の発展と今日的実現
第5章 1944年教育法以降の勅任視学官の役割機能の変容過程―権限の再強化―
 1. 勅任視学官の役割機能の史的性格とその現代的変容の実態
 2. 勅任視学官制度をめぐる論点と権限強化への帰着
第6章 1944年教育法以降の地方視学制度の展開―役割機能の限定化傾向―
 1. 地方視学の組織構造と役割機能に関する事例分析
 2. 1988年教育改革法とその後の一連の改革の影響
 3. 地方視学への役割期待
第7章 視学制度改革の実態―第三者評価の組織的革新―
 1. 視学制度改革の概要
 2. 視学制度改革の意義と課題
 3. 学校査察の今日的展開にみる特質と課題
終章 イギリス視学制度の特質と意義
主要な資・史料及び参考文献
付属資料1. イギリス視学制度関連年表
付属資料2. イギリス視学組織図
付属資料3. 2005年教育法(抄訳)

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著者

高妻紳二郎著

高妻紳二郎(こうづま しんじろう)
九州産業大学国際文化学部教授

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