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書籍のご案内

カリキュラム評価の方法
―ゴール・フリー評価論の応用  
根津朋実著
A5判・上製・328頁
(本体6,600円+税)
ISBN 4-8115-7121-5 C1037
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内容概略
 学校評価の核をなすカリキュラム評価は、誰がどのように行えばよいのか? この問いに対し本書は、日本のカリキュラム評価研究の現状および課題を指摘しつつ、その解決の手がかりを「ゴール・フリー評価論」に求め、具体的な方法を提案・試行するという構成からなる。
 日本のカリキュラム評価の現状および課題は、文部科学省による研究開発学校制度に端的に見られる。すなわち、手法の不明確さ、教師以外の評価者という視点の欠如、データ処理能力の不備、そして実践紹介と評価との不分明を、それぞれ指摘できる。これらの課題を解決する手がかりとして、本書は世界的に広く知られた評価論のひとつ「ゴール・フリー評価論」に注目する。アメリカを中心に活動する哲学者・評価研究者Scriven, M.により1970年代初頭に提唱され、日本では「羅生門的接近」の評価論として従来「目標にとらわれない評価」と訳されてきたこの評価論は、当初の目標達成よりも、実際に生起した結果を重視する。そのために、ニーズ・アセスメント、チェックリスト法、独立評価者といった諸方法が駆使される。
 本書は、ゴール・フリー評価論のうち、多様な評価者の設置および具体的な評価用具の開発という二点に注目し、中高一貫校における回顧的カリキュラム評価、教員集団による多元的な生徒評価、および工業系高校における「総合的な学習の時間」の研究開発評価を対象とし、それぞれ実証的な検討を加える。いずれも今日、注目の教育実践である。

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目次

序章 緒論
 1.問題の所在
 2.研究の目的、課題、および方法
 3.先行研究の検討
 4.論文の構成と各章の概要
第1章 カリキュラム評価における質的な客観性の意義
 1.「羅生門的接近」によるカリキュラム評価の特徴
 2.「羅生門的接近」にもとづくカリキュラム評価の質的な客観性
 3.研究開発学校の事例にみるわが国のカリキュラム評価の実態
 4.「質的な客観性」からみたわが国のカリキュラム評価の問題点
第2章 Scriven, M.によるゴール・フリー評価論
 1.ゴール・フリー評価論の成立背景
 2.ゴール・フリー評価の三つの方法
 3.ゴール・フリー評価論と構成的/総括的評価との関係
第3章 ゴール・フリー評価論による質的な客観性の確保
 1.質的な客観性を確保するゴール・フリー評価論の諸方法
 2.カリキュラム評価が質的な客観性を確保するための実践的要点
第4章 評価者の立場に焦点化したゴール・フリー評価の応用事例
 1.学習者による授業評価を用いた第三者的カリキュラム評価の事例
 2.学習者の経験にもとづく「回顧的」カリキュラム評価の事例
 3.教員組織の多元的な視点を用いた生徒評価の事例
第5章 カリキュラム評価用具としてのチェックリストの開発
 1.カリキュラム評価のためのチェックリストの提示
 2.日本版カリキュラム評価チェックリスト(略称CCEJ)の試行(1):学校レベルでのカリキュラム評価
 3.CCEJの試行(2):教職員レベルでのカリキュラム評価
 4.わが国のカリキュラム評価の問題点からみたCCEJの試行結果
終章 結論
 1.研究成果の要約
 2.カリキュラム評価研究への実践的示唆
 3.今後の展望
補章 Michael Scrivenに関する覚え書き:curriculum vitaeの検討を中心に
 1.問題の設定
 2.スクリヴァンの学問的背景
 3.哲学から評価へ、評価から教育へ
 4.結語:なぜ彼は「シカゴ学派」とみなされたのか?
補足資料・聴きとり調査の記録
あとがき
文献等

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著者

根津朋実著

根津朋実(ねつ ともみ)
筑波大学大学院人間総合科学研究科講師

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