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アルカイック期アテナイと党争
―分析のための史料検討を中心として  
高橋秀樹 著
A5判・上製・272頁
(本体5,700円+税)
ISBN 4-8115-6041-8
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内容概略
 本書は、古代ギリシアのアルカイック期における政治文化を、アテナイを中心に考察し、古代民主政の成立へと至る事情の一面を掬い上げようとするものである。
 まず、ペイシストラトス家による僭主政についての従来の諸説を振り返り、当該事象について諸説を林立させている理由の一つが、諸伝承史料における記述の揺らぎであることに注目する。何人かの古典作家たちは「党争」や「僭主政」という言葉を、それほど明確な定義の無いままに、時にはかなり恣意的な操作を通して用いているが、そのこと自体がそれらの事象の重要な一面を示すものである。
 そして、かかる揺らぎのある記述の背後にある実相が変転の激しい構造を有するものであったことは、ソロンが制定したと伝えられるある法律から窺い知ることができる。さらに、そのような構造の淵源は、叙事詩群に認められる政治的な文化の痕跡に見え隠れしているものでもあった。
 古典史料から見た政治文化解析の書。

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目次

第1章 学説史と課題設定
 Ⅰ. はじめに/
 Ⅱ. ペイシストラトス家僭主政と「党派」についての諸学説/
 Ⅲ. 課題設定
第2章 ヘロドトスにおけるστασιζ
 Ⅰ. 三つの「党派」についての最古の文言、
 Ⅱ. 使用例抽出の対象、
 Ⅲ. 使用例の分析――(1)表1、表2を用いた検討、
 Ⅳ. 使用例の分析――(2)表3を用いた検討、
 Ⅴ. 使用例の分析――(3)一貫性が表れにくい事柄、
 Ⅵ. ヘロドトスにおける「党派」概念の曖昧さ
第3章 ペイシストラトス家τνραννιζ伝承の受容とその背景
 Ⅰ.「僭主τνραννοζ」「僭主政τνραννιζ」概念についての課題設定、
 Ⅱ. トゥキュディデスとヘロドトスに見られるペイシストラトス家 伝承受容の様態、
 Ⅲ. 理念面における一つの前提、
 Ⅳ. 現実面における一つの前提、
 Ⅴ. 展望――B. C. 5c. に おけるペイシストラトス家伝承受容の政治社会的意味
第4章 ソロンのいわゆる「στασιζの法」
 Ⅰ.「στασιζの法」とその実在性を繞る諸学説、
 Ⅱ. アル カイック期における「στασιζの法」の実現性――Bleicken説の検討を中心に、
 Ⅲ.「στασιζの法」制定 に至るアルカイック期アテナイの状況について、
 Ⅳ.「στασιζの法」の歴史的意義)
第5章 ソロンの詩編から見たアルカイック期アテナイと諸叙事詩との関係
 Ⅰ. ソロンの詩編の位置付けに潜む問題、
 Ⅱ. 詩の歌いだしについての先行叙事詩との関係、
 Ⅲ. 概念の内容についての先行叙事 詩との関係――「狂気ατη」の場合、
 Ⅳ. 概念の内容についての先行叙事詩との関係――「富πλοντοζ」の場合、
 Ⅴ. 詩句の構築手法における先行叙事詩との関係――「エウノミエΕννομιη」の描写、
 Ⅵ. ソロ ンの時代のアッティカと伝ホメロス作叙事詩、
 Ⅶ. ソロンの詩編の構造についての見通しとそこからの展望
第6章 伝ホメロス作叙事詩における発言者たちの意思貫徹過程
 Ⅰ. 伝ホメロス作叙事詩の分析方法 論上の問題と個別課題の設定、
 Ⅱ. アガメムノンの諸発言を繞って、
 Ⅲ. アルキノオスとパイエケス人、
 Ⅳ.  テレマコスとイタケ人、
 Ⅴ. 発言者たちの意思貫徹を安定させる機構の構築

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著者

高橋秀樹 著

高橋秀樹(たかはし ひでき)

1965年 福島県生まれ
1988年 東北大学文学部卒業
1991年 東北大学大学院文学研究科博士課程後期課程退学
現 在 新潟大学人文学部助教授 博士(文学)
主論文:「ソロンのいわゆる「党争の法」」(『西洋史研究』、1990)
    「悪しき国制――ペイシストラトス家僭主政伝承をめぐって」
     (平田隆一・松本宣郎共編『支配における正義と不正 ギリシャとローマの場合』、南窓社、1994)

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