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書籍のご案内

女性の帰国適応問題の研究
―異文化受容と帰国適応問題の実証的研究  
伊佐雅子 著
A5判・上製・336頁
(本体4,700円+税)
ISBN 4-8115-5581-3 (品切れ)
内容概略
  1980年代の後半からの急速な円高は、日本国内のバブル経済とともに海外に在留する日本人企業駐在員とその家族の数を急増させた。従来のカルチャーショックや帰国文化ショックの研究では子供(または生徒)やビジネスマンを調査しており、女性を対象とした研究はほとんど行われてこなかった。
 本書では、アメリカに滞在した日本人企業駐在員の妻(主婦、母親)達の異文化受容と帰国後の再適応問題をアンケート・インタビュー調査を基に実証的に調査したものである。異文化の中で妻達がどのような経験をしているのかを深く理解するために、統計学(量的分析)と現象学・解釈学(質的分析)の両方のアプローチが用いられた。
 現象学的にみれば、主婦達は日本人(海外経験のない人達)と同じ空間と時間を共有していないために帰国後はカルチャーショックを経験する。空間と時間は人間のすべての行動パターンを形づくるマニフォールド(感覚の産物)である。空間と時間の観点から異文化における精神構造を発見し、女性達の帰国適応問題を分析した画期的な書である。この問題は女性達のメンタルヘルスという観点からも重要で、本書は異文化でのカルチャーショックや帰国後の逆カルチャーショック(または帰国文化ショック)の本質を解明し、女性達が自国の文化の中で、海外での経験を生かしながら、他者と共生してゆく道筋を提供するものである。

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目次

第1章 本研究の性質と領域
第2章 文献調査/第1節 理論的枠組
第3章 研究方法学/第1節 量的方法(質問紙調査・サーベイメソッド)
第4章 サーベイリサーチ(質問紙調査)の分析/第1節 データ分析Ⅰ:主婦とその家族について/第2節 データ分析Ⅱ:帰国文化ショック・帰国適応問題とその予測要因/第3節 統計調査結果の要約と考察
第5章 質的方法論(解釈学・現象学的アプローチ)/第1節 解釈学・現象学的アプローチ/第2節 調査の方法について/第3節 深層面接の現象学的考察と解釈
第6章 日本人主婦達のカルチャーショックと帰国文化ショックの現象学的考察/第1節 カルチャーショックと価値観の変化/第2節 カルチャーショックと帰国文化ショックの現象の説明:エンパワーメントとディスエンパワーメント
第7章 結論と今後の考察
参考文献
付録 アンケート依頼の手紙/アンケート調査質問用紙/インタビュー質問用紙

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著者

伊佐雅子 著

伊佐雅子(いさ まさこ)

1975年 北九州大学外国語学部英米科卒業
1981年 ミシガン州立大学大学院修士課程修了(M.A.取得、コミュニケーション学)
1996年 オクラホマ大学大学院博士課程修了(コミュニケーション学専攻)
現 職 沖縄大学人文学部国際コミュニケーション学科助教授

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