社会科学図書出版の多賀出版株式会社

 

書籍のご案内

近代日本騒擾裁判史の研究
  
上野利三 著
A5判・上製・320頁
(本体5,900円+税)
ISBN 4-8115-4871-X (品切れ)
内容概略
 本書は、明治初年に各地で起きた反政府的暴動事件の処理過程で見られる司法制度のあり方を追究したものである。
 第一部では、刑事裁判を主管するはずの司法省を除外して大蔵省が出した即決処分指令に基づいて首謀者の処罰が行われた事件に着目した。これが明るみに出た6年3月の敦賀県宗教騒動の裁判以降、司法権を巡り大蔵司法両省の間で論争が行われた。分析の結果「従来の慣行」とする大蔵省の釈明には理がなかったが、政府中央は大蔵省に非はないとした。大蔵省の事件裁判への干渉は、明治初期における「司法権の独立」問題とも言うべきもので、司法省の近代的司法制度構築の企図は後退を余儀なくされる。
 第二部は、明治期最大規模の地租改正反対一揆である伊勢暴動を取り上げた。三重県下ではこの年に独立した司法機関としての裁判所が設置されたが、まだ検事がおかれておらず、また西南の役が目前に迫っていたために大量の検挙者を県庁の一般事務吏員がいっせいに検事の職務を遂行するなどして粗略かつ短期間のうちに裁判を終了させてしまう。
 この書は、初期司法制度形成の観点から明治政権がいかに地方を取り込み中央集権体制を確立して行ったかという問題を解明するための新たな視点からの研究である。

このページのトップ▲

目次

第一部 騒擾事件と即決処分に関する研究
  第一章 敦賀県騒擾裁判をめぐる大蔵省と司法省の紛糾問題-大蔵省の即決処分指令による刑事裁判への干渉
  第二章 敦賀県騒擾裁判以前における即決処分指令の考察-司法権をめぐる司法省と大蔵省の相剋の一側面
  第三章 高知県膏取騒動の裁判記録について
  付章一 高知県膏取騒動に関する裁判史料-高知県聴訟科旧蔵「明治五年 罰帳」
  第四章 生野県暴動事件の一考察-明治四年十一月豊岡県への即決処分指令に係る裁判研究の前提として
 付章二 生野県暴動事件に関する裁判史料

第二部 明治九年伊勢暴動事件裁判の研究
  第五章 伊勢暴動裁判の一考察-暴動関係者の鎮撫、逮捕、審理を中心に
  第六章 伊勢暴動に関する一資料の考察
  第七章 伊勢暴動における刑種別人員とその関係地域

このページのトップ▲

著者

上野利三 著

松阪大学政治経済学部教授

このページのトップ▲