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書籍のご案内

“暴力死”による被害者遺族のトラウマ症状
―司法解剖例の分析  
緒方康介著
A5判・上製・160頁
(本体4,000円+税)
ISBN 978-4-8115-7911-5 C1011
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内容概略
 遺族らに最期を看取られる病死・自然死に比べると交通事故,殺人事件,自死などの「暴力死」(外因による死亡)は遺された者により甚大かつ異質な影響を与える。犯罪被害者自身に関する精神医学や心理学の知見は少しずつ蓄積されてきてはいるが,犯罪被害者の遺族を対象とした調査には乏しく,心理的支援の必要性も十分には認識されていないのが現状である。我が国では犯罪死あるいはその疑いがある遺体の司法解剖は大学の法医学教室において行われる。遺族に寄り添った法医解剖の実践を目指して行われたアンケート調査の過程で遺族らが抱えるトラウマ症状を計量心理学的に多角的に分析し,その成果をまとめたのが本書である。
 本書では,①被害者遺族らが直面する司法手続き,とりわけ司法解剖の現状を概観,②欧米の研究を中心とした先行知見を整理,③本邦の現状と残された課題を検討した後,④まず被害者遺族らに対する質問紙尺度の計量心理学的特性を検証したうえ,⑤遺族の人口統計学的特徴や司法解剖に係る事件・事故などの要素とトラウマ症状との関連を様々な角度から分析して興味深いデータを示し,⑥それらについて包括的に考察している。分析対象としたアンケート調査にはおのずと一定の制約はあるが,被害者遺族における心理的苦悩の一端が明らかにされ,今後に残された課題が示されており,被害者遺族対応の実務において示唆深い有意義な情報が提供されている。  (監修者/前田 均・大阪市立大学大学院名誉教授)

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目次

巻頭言
はじめに
Ⅰ部 背景と目的
1章 被害者遺族と司法解剖
2章 先行研究
3章 問題意識と目的
Ⅱ部 研究知見
4章 トラウマの測定
 1. 調査対象遺族
 2. トラウマ症状尺度
5章 被害者遺族のトラウマ症状
 1. 2変量解析
 2. 多変量解析
 3.“暴力死”の分析
 4. 補足分析
Ⅲ部 総合議論
6章 知見の総括
7章 限界と課題
8章 結論
9章 文献と補遺
 1. 引用文献
 2. 補遺
おわりに─謝辞
あとがき

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著者

緒方康介著

緒方康介(おがた こうすけ)
堺市児童心理司

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