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書籍のご案内

財政学の基礎
  
赤木博文著
A5判・上製・240頁
(本体3,000円+税)
ISBN 978-4-8115-7881-1 C1033
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内容概略
 本書は、政府の経済活動をその基本から幅広く解説した財政学のテキストです。政府の経済活動とは、公共事業などの社会的インフラ整備、教育、医療や年金などの社会保障、環境問題、消費税や所得税など多岐にわたっています。
 本書は3部構成としました。第1部は第1章から第3章までで、政府の役割を中心に説明しています。第2部は第4章から第9章までで、公共財、外部性、社会保障、公共選択論、財政制度を盛り込み、おもに歳出面からその理論と制度を解説しています。第3部は第10章から15章までで、所得税、消費税および法人税の理論と制度の概要を学ぶことができます。
 本書の執筆にあたっては、経済・経営系学部における経済学の入門レベルの知識があれば、微分や行列といった数学を詳しく知らなくても、理解できる内容であるよう心がけました。なるべく図、言葉、例を用いて平易な説明をしています。
15章構成ですので、セメスター(半期授業)での活用が可能です。
 なお、本書は学部学生のための財政学のテキストとして書き下ろしたものですが、公務員を目指す人や財政・税金の実務にかかわる人たちも、当該分野の基礎的な知識が得られるような内容としています。特にテキスト後半は、所得税、消費税および法人税について、一から学べる内容であり、税理士を目指す人が税制の概要を理解するのにも役立つでしょう。
税制改革による追加情報があります(2020/04)。

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目次

1.経済における財政とは
 1. 財政学とは
 2. 財政の範囲
 3. 財政規模の推移と拡大要因
 4. 失われた10年と日本経済
2.政府の役割Ⅰ―市場の失敗,所得再分配,経済の安定化―
 1. 資源配分機能と市場の失敗
 2. 所得再分配機能
 3. 経済の安定化機能
3.政府の役割Ⅱ―規模の経済,情報の非対称性,不確実性―
 1. 費用逓減産業
 2. 情報の非対称性
 3. 不確実性の存在
4.公共支出の基礎理論 
 1. 公共財とは
 2. 公共財の効率的な供給条件
 3. 公共財のただ乗り問題
 4. 公共財供給の経済実験
 5. 費用便益分析の考え方
5.環境問題の経済学
 1. 外部性と市場の失敗
 2. 企業の合併による是正策
 3. ピグー税・ピグー補助金による是正策
 4. 交渉による是正策(コースの定理)
 5. 直接規制による是正策
 6. 規制と課税
 7. 排出権取引の活用
6.社会保障の経済学
 1. 社会保障とは
 2. 公的年金制度
 3. 医療保障制度
7.政治過程の経済学
 1. メイの定理
 2. アローの一般不可能性定理
 3. 中位投票者定理
 4. 票の取引(ログローリング)
 5. 間接民主主義
8.我が国の財政制度
 1. 予算制度の概要
 2. 予算の種類と予算過程
 3. 我が国の予算制度の問題点と改善策
9.財政赤字と公債政策
 1. 財政赤字とは
 2. 財政赤字悪化の要因
 3. 財政赤字の問題点
 4. 財政破綻の可能性
 5. 公債の負担
 6. 公債の中立命題
10.租税の基礎理論
 1. 租税と租税原則
 2. 課税の公平性
 3. 課税の効率性
 4. 租税の分類
11.所得課税Ⅰ―所得概念と控除制度―
 1. 所得とは何か
 2. 我が国の所得税における課税標準
 3. 所得税における非課税所得
 4. 総合課税主義の限界
 5. 所得税における控除制度
12.所得課税Ⅱ―累進性,税額控除,課税単位―
 1. 超過累進税率
 2. 税額控除
 3. 課税単位
 4. 配偶者控除・配偶者特別控除とパート労働供給
13.消費課税Ⅰ―個別消費税・一般消費税―
 1. 消費課税の分類
 2. 個別消費税
 3. 旧物品税の問題点(旧間接税の行き詰まり)
 4. 一般消費税
 5. 付加価値税
14.消費課税Ⅱ―我が国の消費税とEU諸国の付加価値税―
 1. 消費税
 2. 消費税の特徴と問題点
 3. 複数税率化のメリット・デメリット
15.法人課税
 1. 我が国の法人税の概要
 2. 法人税の課税根拠
 3. 法人税と所得税の統合問題
 4. 法人税の経済効果
 5.法人課税の課題
参考文献
図表・コラム一覧
索引

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著者

赤木博文著

赤木 博文(あかぎ ひろぶみ)
名城大学都市情報学部教授

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